宝石の人工処理について

宝石

キラキラと輝き、見る者を魅了する宝石たち
可憐でも、華やかでも、控えめでも、ゴージャスでも、どんな宝石であっても、その確かな美しさに説明はいりませんよね。

しかし、どんな宝石でも少し”手間”を加えなければ最大限に魅力を発揮することはできません。では、その手間とは一体何でしょうか。

まず宝石に施すものと言えば、思い浮かぶのは宝石のカットや研磨ではないでしょうか。原石は”磨けば光る”(=研磨)とはよく言ったものです。宝石によって美しく見せるカット方法があるのは、前の記でも触れたかと思います。でも、宝石を美しく見せるために施すのは、カットや研磨だけではありません。研磨やカットはあくまでも宝石に対する自然な処理。

宝石にする自然な処理以外に人工処理という、かつてはエンハンスメントとトリートメントという二つに大別されていた処理があります。これらは宝石を美しくさせる人工的に手を加える処理方法であり、人間でいうお化粧やエステティックで行う施術を宝石にも施して美しい姿に魔法を掛けて輝かせます。

エンハンスメントとは

エンハンスメントとは、宝石が持っている本来の美しさを人工処理をする事を言います。加熱処理や含浸処理などが一般的によく聞かれるのではないのでしょうか。

  • 加熱処理

加熱処理とは、宝石を加熱することで宝石がそもそも持っている本来の色を引き出す処理を指します。代表的な宝石はルビー・サファイヤ・タンザナイト・トパーズなどに施されます。

  • 拡散加熱処理

拡散加熱処理とは、加熱処理時に他の元素をいれ、人為的に宝石内に取り込ませる人工処理方法を指します。無色や色の薄いコランダムに施されることが多い処理方法で、コランダムにチタンやクロムを入れ、ブルーサファイアやルビーに変えることができます。

  • 含浸処理

含浸処理とは、オイルや樹脂、ワックスなどを宝石に浸み込ませる事で光沢や透明度など、あるいは色を変化させる人工処理を言います。宝石に浸み込ませる処理を行っているので、洗剤やアルコールを用いて宝石を洗うことや、超音波洗浄機を使うことは厳禁とされます。代表的な宝石はターコイズ、エメラルド、ルビー、オパールなどに対し施されます。

  • 充填処理

充填処理とは穴や傷があった場合、ガラスなどで充填する処理方法です。日本では宝石の価値が下がるので、あまり推奨して行われるものではありません。サファイア、ルビー、ダイヤモンド、珊瑚などに施されます。

  • 漂白処理

漂白処理とは、過酸化水素を用いて、宝石表面の汚れやシミと取り除く処理方法です。主にパールに対して施される処理で、一部カルセドニーや珊瑚に対しても行われます。

トリートメントとは

トリートメントとは、化学的な操作で自然界ではありえない変化を宝石に及ぼす人工処理方法を指します。

  • 放射線照射処理

宝石に人工的に放射線を照射することにより、内部の結晶構造を変化させて色合いを変える人工処理の事を指します。代表的な宝石では、ダイヤモンドに放射線照射を施すと、緑色、褐色、オレンジ色に変化し、パールに施すことでシルバーやグレーに変化します。

  • 着色処理

色素により、人為的に色を変える処理方法を言います。ピンクダイヤモンドやラピスラズリ、ターコイズなどに対し施されます。この処理は衝撃や酸に弱い傾向があります。

  • コーティング処理

宝石表面にチタンなどの物質を蒸着させて色合いを調整する人工処理を指します。代表的なものに人気のミスティックトパーズがあり、水晶や珊瑚にも施されます。

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