濃紺に近い青色が美しいラピスラズリはラズライト(青金石)という鉱物グループの一種です。
主要成分となる青い部分はラズライトですが、金色に光るパイライトや白いカルサイトと共生した状態の岩石状の固まりが多く、その形で産出されます。
日本語名は「瑠璃」と呼ばれ、仏教の世界では、七宝のひとつに数えられています。
古代エジプトにて
ラピスラズリの歴史は古く、エジプトでは紀元前3000年頃の文明跡から装飾品として見つかってます。
当時のエジプトでは、ラピスラズリが産出されることはなく、アフガニスタン等で産出したものを輸入して多くの宝飾品に使われていました。
なかでも有名なものは、ツタンカーメン王の黄金マスクの装飾にラピスラズリが使われており、当時では価値の高い宝石だったと伺えます。
世界最古の顔料として
フェルメールの作品として有名な「真珠の耳飾りの少女」
印象的な青いターバンはフェルメール・ブルーと称されることも。
この印象的な青、実はラピスラズリから出来ています。
当時ラピスラズリは金と同じくらい高価なものでした。
17世紀のヨーロッパでは、ラピスラズリをアフガニスタンからの輸入でしか手に入れることができず、画家たちは「海を越えてきた青」という意味を名前に込めた”ウルトラマリン”と名付け、大変尊重していました。
クレオパトラのアイシャドー
世界三大美女の一人、クレオパトラ
彼女はエジプトのファラオ、女王として後世にその名を残しています。
類い稀なる美貌を武器に数々の伝説を残し、エジプトの世を治めますが、最後はコブラに自らの乳房を噛ませ自殺したという壮絶な人生を送っています。
クレオパトラは宝石類に関するいくつかの伝説を残していますが、ラピスラズリもその一つ。
ネックレスや王冠などの宝飾品として美しく自分を飾るのではなく、なんとラピスラズリを粉末にしてアイシャドーとして使用します。
美しく青色に輝くラピスラズリには、化粧としての効果だけではなく、薬のように虫さされ予防や感染症予防になると考えられていたようです。
金と同等の高価な宝石を肌に塗ってしまうなんて、女王にふさわしいエピソードですよね。
ちなみに…
現在でもラピスラズリの粉末を入手できますが、絶対に肌には塗らないようにしてくださいね!