アパタイトは透き通ったブルーやディープブルーなど色々な青を表現し、人を虜にする天然石です。
ですが硬度の低さ、ジュエリーとしての大きさ、美しさを兼ね備えたものはなかなか見つからないもの。
アパタイトのジュエリーとなると、小さな原石をそのまま利用したものや、同じカラーのトルコ石やラリマーと合わせられる事が多いでしょう。
また、このアパタイト、非常に多くの種類があり、青以外のカラーはとても希少価値が高くなります。
今回はそんなアパタイトのカラーや名前の由来、特徴についてご紹介していきます。
光を閉じ込めるアパタイト
アパタイトはアパタイトスーパーグループと呼ばれる鉱石の総称を示します。
和名では「燐灰石(りんかいせき)」です。
グループの種類を大きく分けると
・フローアパタイト
・ハイドロキシアパタイト
の3つに分かれます。
アパタイトのグループが多く分かれる理由はその含有される成分の豊富さにあります。
アクセサリーとして使用されるのはフローアパタイトです。
天然石として扱われるアパタイトのカラーは成分によって変わり、ブルー、グリーン、イエロー、パープル、ピンク、グレーなど多岐に渡ります。
クロロアパタイト、ハイドロキシアパタイトは医療や工業用として使用される事で有名です。
ハイドロキシアパタイトは人間の骨や歯と同じ成分であり、歯科医療や人工骨、美容にも使用されるため、こちらの方が馴染みがあるかもしれません。
カルシウム成分を含んでいるためアパタイトという名前のサプリメントも存在します。
人によっては天然石とは違うものを想像してしまうでしょう。
天然石 アパタイトの名前の由来は意外な所から
ギリシャ神話に出てくる女神の名前「apate」は欺瞞(ぎまん)や不正を擬人化した神です。
アパタイトという名前は「アパト」というギリシア語を語源に、惑わし、トリック、を意味します。
天然石のアパタイトの名前の由来はここからだと言われています、
なぜ、きれいな石にどうしてこのような名前がついてしまったのでしょうか?
それはアパタイトのカラーの多さ、そして捉え所のない外観から生まれました。
アパタイトはグループ名だと説明したように、多くの種類があり、多くのカラーバリエーションがあります。
鉱石は結晶の塊なので、元々、形は不規則なもの。
しかもアパタイトは含有物質の種類が多いため、この形(晶癖:しょうへき)が一定ではなく、見つけた時に一目ではこれはアパタイトだ、と判断しにくいのです。
今であれば持ち帰り、石の成分を調べればわかりますが昔は別の石と混同してしまうことも多かったのでしょう。
そういった理由から、欺く、だます、などの意味がある単語が石の名前に使われてしまったようです。
天然石 アパタイトの主要な産地と種類
アパタイトの主要な産地はブラジル、ミャンマー、スリランカなどです。
他にも多くの産地があり、マダガスカルのアパタイトは品質が安定していて有名です。
アスパラガスストーン
種類というよりは愛称と言った方がいいでしょう。
アパタイトの数多くある種類の中で希少価値が最も高い種類です。
特にスペイン産アパタイトのアスパラガスストーンは希少で、なかなかお目にかかる事はできません。
カラーは黄色から黄緑、まさに野菜のアスパラガスに似ていたからこのように呼ばれるようになったという説が濃厚です。
人によってはグリーンアパタイト、イエローアパタイトと区別して呼ぶ人もいます。
カナダ産のグリーンアパタイトはトリリウマイトと呼ばれます。
ブルーアパタイト
ブルーアパタイトは1番ポピュラーで人気のあるカラーです。
流通量が多く、アパタイトといえばこのブルーアパタイトである事が多いです。
ブルーといっても、透き通ったブルー、ターコイズブルーのような濃い青、マーブル模様のようにいくつもの色が混ざった青など様々なブルーがあります。
その中でも緑がかったものをモロキサイトと呼びます。
透明度が高く、表面のざらつきが少ないものほど高値で取引されます。
マルチカラー
アパタイトはたくさんの色を持つ石です。
緑がかったブルーや、緑に黄色の入ったものなど、2種類以上の色が合わさっている事も少なくありません。
見る方向、光が差す方向、光の種類から見える色が変わる事があります。
人の目を引き付け、魅了するでしょう。
アパタイトキャッツアイ(シャトヤンシー)
石の中に直線状の光線が入った模様をキャッツアイ、またはシャットヤンシーと呼びます。
アパタイトはそもそもジュエリーとしての品質(大きさや透明感)を持ったものが見つかる事が稀です。
そこにさらにキャッツアイ効果を持っているとなると希少価値が高まります。
アパタイトの扱い方
アパタイトは硬度が低く、あまりアクセサリーには向いていません。
透明度が高いものが産出される事はまれで、加工しようとすると割れてしまうのです。
そのため、流通量が少なく手に入れる事が難しい石の一つです。
身につける時はどこかにぶつけたりしないよう注意が必要です。
衝撃の少ないピアスやネックレスがおすすめです。
また、水に浸けてしまったり、紫外線に当てすぎてしまうとものによっては色が落ちてしまう事があるので注意しましょう。
天然石 アパタイトは一言では表せない
アパタイトは見つけた時に一目ではわかりにくい、という特徴があります。
そのため、惑わしや、欺くなど少しマイナスに取られるような言葉が例えとして名前がつけられてしまいました。
実物の天然石アパタイトは多くのカラーを持ち、環境によって色を変えるきれいな、珍しい天然石です。
ブルーアパタイトは多く出回っていますが他のカラーは希少価値が高いものになります。
また、硬度が低いため宝石として使われる石は少なく、ジュエリーというよりかは標本として集める方が多いでしょう。
宝石として使われているアパタイトは宝石になっているというだけでも希少価値が高いのです。